くちぶえを練習したっておそいんだ　もうひらかれることのない窓

くちぶえを　れんしゅう　したって　おそいんだ　もう　ひらかれる　ことの　ない　まど

Kuchibue o rennsyuusitatte osoinnda mou hirakareru koto no nai mado


２回めの夏がおわって秋がきてもうすぐ冬がくるとおもうと

にかいめの　なつが　おわって　あきが　きて　もうすぐ　ふゆが　くると　おもうと

Nikaime no natsu ga owatte aki ga kite mousugu huyu ga kuru to omou to


さよならを言うことばかりうまくなる　きみが元気でいるなら、いいんだ

さよならを　いう　こと　ばかり　うまく　なる　きみが　げんきで　いるなら、いいんだ

Sayonara o iu koto bakari umaku naru kimi ga gennnki de iru nara, iinnda

透明なガラスのなかにとじこめた海とかもめとヨットと永遠
とうめいな　がらすの　なかに　とじこめた　うみと　かもめと　よっとと　えいえん
Toumeina glass no naka ni tojikometa umi to kamome to yacht to eienn


海がすき、雪がすき、って言ったっけ？　このてのひらに全部載ってる
うみが　すき、　ゆきが　すき、　って　いったっけ？　この　てのひらに　ぜんぶ　のってる
Umi ga suki, Yuki ga suki, -tte ittakke? Kono tenohira ni zennbu notteru

「ほら、空が晴れてきたよ」と友達が言った　ほんとに青空だった
「ほら、そらが　はれて　きたよ」と　ともだちが　いった　ほんとに　あおぞらだった
'Hora, Sora ga harete kitayo' to tomodachi ga itta hontoni aozora datta

おとといの夜の蛍はいきのびただろうか　あらしを耐えただろうか

おとといの　よるの　ほたるは　いきのびただろうか　あらしを　たえただろうか

Ototoi no yoru no hotaru wa ikinobitadarouka arasi o taetadarouka

ふるきずがいたむのだよ、と老人は言った　とりわけあらしのよるには

ふるきずが　いたむのだよ、と　ろうじんは　いった　とりわけ　あらしの　よるには

Furukizu ga itamu noda yo--to roujinn wa itta --toriwake arasi no yoru ni wa


いまもなおくすぶりつづける胸の奥　いかり、それともかなしみ、それとも？

いまも　なお　くすぶりつづける　むねの　おく　いかり、それとも　かなしみ、それとも？

Ima mo nao kusuburitsudukeru mune no oku ikari, soretomo kanashimi, soretomo?


熱い血はいらないいますぐイカにしてあたしをつめたいいきものにして

あつい　ちは　いらない　いますぐ　いかに　して　あたしを　つめたい　いきものに　して

Atsui chi wa iranai imasugu ika ni site atashi o tsumetai ikimono ni site

ジャムを煮る　深夜のキッチン　水底のようにゆらめくいちごのにおい

じゃむを　にる　しんやの　きっちん　すいていの　ように　ゆらめく　いちごの　におい

Jam o niru sinnya no kitchen suitei no youni yurameku itigo no nioi


髪もゆびも肌も瞳も吐息さえも　あまくあまくなる　とろとろ溶ける

かみも　ゆびも　はだも　ひとみも　といきさえも　あまく　あまく　なる　とろとろ　とける

Kami mo yubi mo hada mo hitomi mo toiki saemo amaku amaku naru torotoro tokeru


実際はずっとなべをかきまぜて腰もいたいし色気ないです

じっさいは　ずっと　なべを　かきまぜて　こしも　いたいし　いろけ　ないです

Jissaiwa zutto nabe o kakimazete kosi mo itaisi iroke naidesu

あたたかいひざしに布団を干すことと家族にとどけるおかずを煮ること

あたたかい　ひざしに　ふとんを　ほす　ことと　かぞくに　とどける　おかずを　にる　こと

Atatakai hizasi ni hutonn o hosu koto to kazoku ni todokeru okazu o niru koto


競走をしたがるひとはどこにでもいてむりやりに私を立たせる

きょうそうを　したがる　ひとは　どこにでも　いて　むりやりに　わたしを　たたせる

Kyousou o sitagaru hito wa doko ni demo ite muriyarini watashi o tataseru


うらやむという行為またうらやましいというきもちもよくわからない

うらやむ　という　こうい　また　うらやましい　という　きもちも　よく　わからない

Urayamu to iu koui mata Urayamasii to iu kimochi mo yoku wakaranai


くらべたりうらやんでみたりねたんだりみんなとってもいそがしい春

くらべたり　うらやんで　みたり　ねたんだり　みんな　とっても　いそがしい　はる

Kurabetari urayanndemitari netanndari minnna tottemo isogasii haru


よく晴れた日になやむのはばからしい　日ざしをほおに受けて目をつぶる

よく　はれた　ひに　なやむのは　ばからしい　ひざしを　ほおに　うけて　めを　つぶる

Yoku hareta hi ni nayamu nowa bakarasii hizasi o hoo ni ukete me o tsuburu

ほんとうにだいじなことは言わないで　こっそりたんすにしまっておくの

ほんとうに　だいじな　ことは　いわないで　こっそり　たんすに　しまって　おくの

Hontouni daijina koto wa iwanaide kossori tannsu ni simatte oku no


にくしみを後生大事にそだててるあのひとたちにも、すぐそこの春

にくしみを　ごしょうだいじに　そだててる　あの　ひとたちにも、 すぐ　そこの　はる

Nikusimi o gosyoudaijini sodateteru ano hitotachi nimo sugu soko no haru


見ないふりして歩み去る、 カンタンね。 じぶんは関係ないってふりして

みない　ふり　して　あゆみさる、　かんたんね。　じぶんは　かんけいない　って　ふり　して

Minai huri site ayumisaru, kanntannne. Jibunn wa kannkei nai - tte huri site　

傷ということば、我慢ということば、さいしょに覚えた言葉をいう子

きず　という　ことば、がまん　という　ことば、さいしょに　おぼえた　ことばを　いう　こ

Kizu toiu kotoba, Gamann toiu kotoba, saisyoni oboeta kotoba o iu ko



サンジャンの唄をうたってすごす夜　ひとりぼっちのしずかな雪の夜

さんじゃんの　うたを　うたって　すごす　よる　ひとりぼっちの　しずかな　ゆきの　よる

St.Jean no uta o utatte sugosu yoru hitoribocchi no sizukana yuki no yoru

すきなだけ石をなげてもよいのです　罪をおかしたことがないなら
すきなだけ　いしを　なげても　よいのです　つみを　おかした　ことが　ないなら
Sukinadake isi o nagetemo yoi nodesu tsumi o okasita koto ga nainara


ひとびとはわたしのなかにそれぞれの罪や怒りや恥をみている
ひとびとは　わたしの　なかに　それぞれの　つみや　いかりや　はじを　みている
Hitobito wa watashi no naka ni sorezore no tsumi ya iyari ya haji o miteiru